2012年4月3日〜10日、ラフォーレ原宿で上演された、
佐藤貴史主演『We Love 兄さん!』を
カッとなって全11公演観るという暴挙に出た結果、
セリフがだいぶ頭に残ってしまう始末。
せっかくなのでできる範囲で書き留めてみました。
公演をご覧になった方は記憶をたどるヒントに、
ご覧になれなかった方は、ますます謎に包まれてください。
*あくまで個人的に趣味の範囲で書き起こしているので、
ないとは思いますが、
二次使用や転載はしないでください。
あと細かいとこ間違ってても怒らないでください。
ただのメモなので、誰のセリフか、とかは書いていません。
とりあえず芝居の前半部分をどうぞ。
その1は
コチラその2は
コチラその3は
コチラ---------------------------------------------------------------------------------------
さと兄登場
「この世界には、いったい何人の役者がいるんだろう?
何万人? 何十万人? 何百万人?
その中で、いま東京でいちばんシャレオツな
ここラフォーレの舞台に立てるのはいったい何人!?(どやっ)
さらにその中で、主役をはれる役者となると、
それはもうかなり絞られるわけで。
つまり、役者冥利に尽きるわけで…
みなさーん!
私、佐藤貴史はいま、ラフォーレの舞台で
いきなり長ゼリフを喋ってますよーーー!!!
弟よ!」
弟たち+変な警官と変な女性登場
劇中歌『主役になりたい』
突如拳銃をぶっ放す警官(コバケン)
「原宿警察だ!
佐藤貴史、お前に逮捕状が出ている。
お前を、分不相応罪で逮捕する!」
お前は主役にふさわしくないとさと兄を攻めるコバケン
「だいたいお前なんかが主役の舞台、誰が見たいんだ?」
「それは…」
「照明さん、客席に明かりを!」
明るくなる客席
「見ろ! お前が今まで客だと思ってたのは蝋人形だ!」
「ええっ、これが?」
「よくできてるなあ」
「まあ、このCブロックは出来が悪いようだがな」
制作スタッフ(加藤啓)を呼び出すコバケン
「制作スタッフはいるかー?!」
「はい、お疲れ様です、るひまの千葉ですぅ~」
「この公演のチケットは何枚売れてるんだ?!」
「え、えーと…」
「早く答えろ!」
「キョド、キョド」
「キョドってんじゃねー!!(拳銃バーン)」
「うあー!!」
「井澤ーっ!」
「井澤がいきなり死んだーっ!」
「こ、この公演のチケットの売り上げ枚数は…3枚です!」
「3枚ー?!」
ガーーーン
泣き出す制作スタッフ
「さ、署までご同行願おうか」
手錠をかけられ連行されるさと兄
「…こうしてオレは、主演舞台の初日に
いきなり分不相応罪で逮捕されてしまった。
不思議と涙は出なかった。冷静に考えて、
オレが主役の公演なんて売れるわけがない。
オレは、無謀にもほどがある企画を立てた
る・ひまわりを恨んだ」
取調室
「佐藤貴史、37歳、無職」
「役者です」
「無職!」
「役者です!」
高圧的な警官の態度
「あんたに何がわかるんだ!」
「分かるさ。いろいろとな。
お前は田園都市線の駒沢大学に住んでるな」
「…ええ、まあ」
「そして、お前の携帯電話のアドレスは、ザ・ワールド○○…@ …」
「わーっ!! いきなり暴露はやめろーっ!!
アットマークまでゆったらあと3択じゃねえか!」
*暴露ネタのパターンは、
住所、携帯メアド、彼女、死んでほしいと思ってる人など
「でもあんたなんでオレのことそんな詳しいんだ!?」
「それはオレが、お前・佐藤貴史のディープなマニアだからだよ!」
財布からチケットを取り出し高々とかかげるコバケン
「ああっ! 売れたチケット3枚のうちの1枚は、
あんただったのか! でもどうして…?」
「ふん、オレはな、お前のようなつまらない役者の芝居を
上から目線で見下ろすのが大好きなのさ!」
「なんだとぅ…!」
「お前のような色のない役者が、慣れない主役をまかされて
舞台上であたふたする様子を想像するだけで…
い、いくーーーっ! イグイグ、イグイグ(客席に)」
「やめろっ!」
最前列の客に個人攻撃を繰り広げるコバケン
「ぼくはいったいどうなるんでしょう」
「まあ今回は初犯ということで不起訴処分になるだろうな。
というわけで、お前の身元引き受け人は誰かいるか?」
「…栃木に、弟が一人」
「弟?」
「兄ちゃん…兄ちゃん…」
黒い布をかぶった学生服姿の弟登場
「どうも! シークレットキャストの、『私』です!!」
「リョウタ!」
「もう兄ちゃんのことが心配で心配で、
こんなにほっぺた真っ赤になっちゃったよ」
「いやお前それ自分で塗ってただろ」
兄のもとにかけよる弟リョウタ。
「ワケはじっくり、デズニーランドで聞くから」
舞台上で「しゅき家」のセッティング
コバケンふんどし生着替え
「しゅき家」の看板を見てデズニーランドだと勘違いするリョウタ
しゅき家に入って行く兄弟
「らっしゃいませ〜」
「ほら、ファストパスの機械で〜、兄ちゃんは何にする?
ビッグサンダー3種のチーズ牛丼?
スプラッシュおろしポン酢牛丼?」
「兄ちゃんはカリブの食べラーメンマ牛丼にするよ」
「いらっしゃい! 食券を出してね」
「わあ〜ミッキーだぁ!」
「はい、イッツアスモール牛丼!」
「わー、いただきまーす!」
店員(コバケン)に突然どつかれるさと兄
「おいお前! なんで言わねえんだ!
ここがデズニーじゃなくてしゅき家だって、
なんで言わねえんだよ!」
「てゆうかあんたさっきのポリスだろ!
なんでこんなところにいるんだよ!」
「それは、役者は大変だからだよ!」
「役者?」
「ああ…小林健一って知ってるか?」
「小林健一?」
「知らねえだろうな。世間じゃ佐藤貴史と同じぐらい無名だからな」
「あんた役者だったのか! じゃあ…オレの芝居の
チケットを買ったっていうのは…」
「ジェラシーさ! オレと同じぐらい無名のお前が、
ラフォーレで主役をはるなんて、どんな舞台なのかと思ってな」
「…兄ちゃん…オレ、さっき警察から電話がかかってきたとき、
ラフォーレの前にいたんだ」
「えっ」
リョウタ、財布からチケットを取り出す
「オレ兄ちゃんの主演舞台すっごく楽しみにしてたのに…」
「じゃあ、3枚のうちのもう1枚はリョウタか…」
「兄ちゃん、どうして中止になっちまったんだ?」
「それは…分不相応罪で逮捕されちまったからなんだ
…とは言えなかった…」
「はぁ…でもやべえなあ…このままじゃオレ、
地元の仲間にバカにされちまうよ」
「地元の仲間?」
地元の友達3人登場
「やーいやーい! お前の兄ちゃんzsxcdfvgbhんっjっkl」
「いや後半なにゆってるか全然わかんねえ!
いいから遠慮しないで、本気で悪口ゆってみな?」
「お前の兄ちゃん(同時に:水虫、歯槽膿漏、失敗作など)〜」
「おい水虫ってゆったか!?」
「やめろーっ! …照れるでねえか」
「いやほめてねえよ! 水虫っつったんだぞ!」
「みずむっ…ひ、ひでえなんでそんな…びええええん」
「それは君が、嘘つきだからだよ、リョウタくん」
「誰だっ!?」
モモイ登場
「君は、美しすぎる栃木県人、モモイくん!」
「ぼくの兄さんはぁ?
東京で役者(やくさ)をやっていてぇ?
今度主演をはるってぇ?
全部うそでねえが!」
「ウソでねえ! 兄ちゃんが主役をやるのは本当だ!」
「それにここは、デズニーランドじゃなくて、しゅき家だよ!」
がーーーん!
店員にすがるリョウタ
「ち、ちがうよね、プーさん!?」
「…(プー的な声で)こ、ここは牛丼屋なんだぁ」
「そいつはね、まともな職がないっていう意味でのプーさんなんだよ」
「う、ウソでねえ! 兄ちゃんが主役をやるのは本当だ!」
「へぇ〜、いつの舞台で?」
「この舞台だ!」
「何分後?」
「きゅ、90分後だ!」
「へぇ〜、本当に?」
「本当だ!」
「じゃあ、もしそれができなかったら、
何でも言うことを聞いてもらうよ? いいね?」
「わ、わかったよ!」
「ふふん、じゃあ、楽しみに待つとしよう。
行くぞ、トン吉、チン平、カン太!」
モモイに続いて退場する3人
突っ込み続けるコバケン
「お前らトン吉、チン平、カン太って言うんだ。
え? 誰が誰?」
「オレ(口々にトン吉、チン平、カン太)」
「いやぜんぜんわかんねえ! 誰が誰?」
「オレ(3人揃って)トン吉」
「そんなワケねえだろ!」
残された店員と兄弟
「おいリョウタ、なんであんな約束しちまったんだよ」
「オレ、信じてるから。兄ちゃんが主役になれるって、信じてるから」
リョウタ、笑顔で去る
がっくりと肩をおとすさと兄
コバケン生着替え再び
「貴史は、竹下通りを駅に向かってトボトボと歩いていた。
そうだ、お茶でも飲もう。疲れを感じた貴史は、
喫茶店で一休みすることにした。そして、竹下通りの
入り口にある喫茶ノアのドアを開け……
いらっしゃいませぇ〜」
着替えが間に合わずふんどしやら胸毛やら見え放題のコバケン
「間に合ってねえよ!」
「ダメだ、ここどうしても間に合わねえ!」
「ていうかまたあんたかよ」
「ああ、役者の基本はバイトだろ。
ポリス、しゅき家、そして喫茶ノア。
もう芝居をするヒマもないぐらいフル回転なんだよ。
ご注文はぁ〜?」
「うるせえよ!」
さと兄とコバケンのなんだかくだらないやりとり
「いっそのことオレが主人公のこんな物語はどうだ?」
「あんたが主役?」
「オレはよその星からやってきてて、
しっぽが生えてて月を見ると巨大化して、
星が入った7つのボールを集めると…」
「ドラゴンボールじゃねえか!」
「コバケンボールだよ!」
「しかし、あと1人、チケットを買ってくれた人って
いったい誰なんだろう」
「ヤムチャだよ!」
「そんなワケねえだろ!
…でもその人に聞いてみたらいいと思わないか?」
「ああ?」
「いったいオレなんかのどこに魅力を感じて
チケットを買ってくれたのか」
「だけどどこにいるんだよ」
いつの間にか店内でコーヒーを飲んでいる老人
「ワシだったらさっきからずっとここに座っとるよ!」
「いやウソつけ!」
「佐藤くん、お久しぶり!(椅子に)」
「違うわ!」
「ん? 他人のそら似か」
「佐藤はこっち!」
「どうも、お久しぶり、B作さん」
「ちがう! 貴史!」
「いやあはははお久しぶり佐藤くん。
ワシのこと、覚えとるぅ?」
「誰だ、この三河弁のジジイは?」
「さあ…」
「ヒントは、ワシは佐藤くんの中学校時代の恩師の加藤先生です」
「わかった! あんたはこいつの中学校時代の恩師の加藤先生だな!」
「ピンポンピンポーン!」
「全部ゆってるよ!」
「シャキーーーン!」
「???」
さと兄の鋭い突っ込みを絶賛する加藤先生
「じゃあ、チケットを買った3人目っていうのは…」
「ワシはこの公演のチケットをe+で買ったじゃんねえ」
「え、e+で?」
しばらくe+だのトイザラスだののくだり
「あんたやはり、突っ込みが冴え渡っとるねえ」
「えっ?」
「ワシは昔からあんたの突っ込みはすごいと思っとったよ。
ほかにもすごいとこいっぱいあるよねえ」
「例えば!?」
「1日に2回か3回ゴハンを食べるところとか」
「普通だよ!」
「シャキーーーン」
しばらくさと兄の突っ込みをいじりたおす時間が延々
突っ込みの技術はすばらしいが
そのほかの部分が足りないことを気にかける加藤先生
どうにか教え子をスターダムに伸し上げようと思案する
「恩師だからこそ、恩師ならではの発想で。
そうだ! 佐藤くん、あんたアイドルの養成所に入りぃ。
そこで一番になれれば、主役にふさわしい素質が
あるってことになるら〜?」
「はい、がんばります!
…でも、こんな先生いたかな?」
怪しげな表情で去って行く加藤先生
「これは…チケットじゃなくて葉っぱじゃんねえ」
「こうしてオレは、進められるままアイドルの養成所にやって来た」
養成所の若者3人登場
「主役しかいないパラダイスへ、ようこそ。
誰よりも輝きたい男たちが戯れる、自分大好き地獄。
ここでは誰もが思ってる。ほかのみんなを差し置いて、
とびきりのアイドルになりたいってね」
劇中歌『僕たちはアイドル』
3人それぞれのアピール
「目元が涼しげだからなか、よく冷たいって言われるけど、
ココには熱いハートを秘めてるんだぜ。
どうも、研究生のアオタです」
「なんてクールなんだ! すでに主役の貫禄十分だ!」
「ヤッホー! 山が好き!
山で食べるカレーはもっと好き!
研究生のキッカワです!」
「なんてワンパクなんだ!
この天真爛漫な感じも逆に主役っぽい!」
「オレは…あああっ! ダメだダメだダメだーーーっ!!
…ミドリヤマです」
「なんだこいつ! この絡みづらい感じはまさに主役級!」
若者たちに圧倒されるさと兄
「オレはここで本当に主役になれるのだろうか」
「ズバリ、それは無理だなーっす」
モモイ再び登場
「モモイ! お前どうしてここに!?」
「あなたが主役になるのをなんとしても阻止して、
リョウタに言う事をきかせるためだなっす」
「お前…いったい何を考えてるんだ!?」
「そんなの、危ない妄想に決まってるんだなっす
オデの妄想、スタート!」
リョウタ登場
「約束どおり、何でも言う事を聞いてもらうよ。
じゃあ、今日は僕のペットになってもらおう。
ほら、かわいい子犬になるんだ!
かわいい子犬のまま、エドはるみになって一言!」
「ドッグー」
うわああああ
「リョウタ! もういい!
エドはるみって今もうあんまりやっちゃいけない人だ!
楽屋に帰って反省しろ!」
「ここでは誰もがライバルだった。
仲良く楽しく、なんて考えるやつは一人もいなかった。
食うか食われるかのサバイバルゲーム。
小劇場出身、37歳のこのオレは
果たして生き残ることはできるのだろうか!?」
「事件はある日、
アイドルのオーディション番組の楽屋で起こった」
楽屋
「…ああ、男のくせにこんな念入りに髪型を
セットするなんて知らなかったよ。
どうしよう、オレなんも持ってない…」
「(キッカワに)すいません、
メイク道具忘れちゃったんですけど、
貸してもらえませんか?」
(ガン無視される)
「(アオタに)すいません、その、
♪ドゥグドゥンドゥンドゥン…(UNOのCMソング)
貸してもらえませんか?」
(やはりガン無視される)
「(ミドリヤマに)すいません、
何でもお礼するんで貸してもらえませんか?」
(ファブリーズを渡され)
「そうそうこうやってこうやって加齢臭が消えたーってバカ!」
3人、バンッと立ち上がる
緊張感が走る
「……すいません…」
モモイの悲鳴をあげて駆け込んでくる
ぱっつんぱつんの体操服姿
「誰だ!?
僕がカバンの中に入れておいたジャージを
子供用の体操服にすり替えたのは!?
お前か? お前だな!? お前だろう?
じゃあお前だ!(さと兄を殴る)」
「ち、ちがいますうう」
アオタたち、クスクスと笑っている
「どうするんだ? そんな格好じゃ
オーディションなんて受かんないぜ」
「くそー、覚えてろ!」
モモイ、走り去る
コバケン、加藤先生登場
「佐藤!」
「佐藤くん!」
「あっ、コバケンさん、加藤先生」
「お疲れ! 差し入れもってきたよ」
「何ですかこれ?」
「人生ゲームの車に乗せる妻」
「いらねえわ! ちっちゃ!」
「で、どうだ調子は?」
「いやもう全然ダメですよ〜」
モモイ、再び楽屋へ
「見ろ、モモイのやつ仕返ししに来たぞ!」
「ねえアオタくん、君って一見クールそうだけど、
実はかなりの緊張しいなんだってね?」
「ギクぅ!」
その様子をメインステージから見ながら
突っ込みを入れるコバケンたち3人
「口に出してギクってゆっちゃった」
「他にもなんか言ってみたら?」
「よし! アオタくん、きみ顔ぜんぶ整形なんだって?」
「ギクぅ!」
「ゆっちゃったよ!」
アオタを挑発するモモイ
「今日のこの台本の長ゼリフ、
緊張しないでちゃんと言えるぅ?」
「な、何言ってんだ、言えるに決まってるだろう!」
ガクブルガクブル
「あーあ、すごい震えてるよ台本こんなだよ」
「喉カラカラなんじゃない?大丈夫か?」
「い、生きるべきか、死ぬべきか…」
「なんだあの声、平泉成じゃねえか!
お前ちょっと助けてやれよ!」
「じゃあ行ってきます。
おい! モノマネってのはこうやるんだよ!」
ひどい中尾彬のモノマネ
「はいつまんないー」
「テメエ余計なことするんじゃねえよ!
…ダメだ、佐藤貴史に気軽に絡まれてしまった…
オレはもうダメだーーー!」
アオタ、楽屋から走り去る
「こうしてモモイは、アオタをプレッシャーで潰してしまった」
「あーっはっはっは!」
「おい見ろ、モモイが潰そうとしてんのは
アオタだけじゃないぞ! 今度はキッカワを狙ってる!」
キッカワに近づくモモイ
「…ねえキッカワくぅん」
「…ヤッホー!」
「きみってストレスがたまると食べ過ぎちゃうんだってね?」
「そう言ってモモイが取り出したのは…
ケンタッキーフライドチキン!」
「…ゴクリ」
「またゆっちゃった!」
「みんな心の声を口に出しちゃうんだ」
「加藤先生も何か言ってみますか」
「うん。キッカワくん、後ろからムッキムキのおじさんが
いやらしい目できみを見てるよ」
「…ゴクリ」
「おじさん好きか!」
チキンの誘惑と戦うキッカワを見ながら
「ダメだよ太っちゃうよ、
アイドルなんだから我慢しなきゃ!
チキンと距離をとって! そうそう…
ダメだよ見ちゃダメだって。
あーだんだん悩ましげになってきちゃった。
オカマみたいになってきちゃった。
ほらダメだって。チキン遠ざけて!
チキンと距離とって、そうそう! ヒムロックだね!」
とうとう我慢できなくなるキッカワ
「うわああ! チキンが襲ってくる!
わあああ、左手にもチキン現る!!
あーーー! もうガマンできないい!
ばっくばくばく! むっしゃむしゃむしゃ!
ブッチブチ! 骨まで柔らかい! チキンうめー!!」
「お前ちょっと助けに行ってこい」
「オレあいつと絡みたくないよー!
…いいか、チキンってのはこうやって食うんだ!
ばっくばく、ばく、獏さーん! 大和田獏さーん!」
「はいつまんないー」
「てめえ余計なことすんじゃねえよ、この大根役者!」
全力で殴られるさと兄
「お前に言われたくないよー」
走り去るキッカワ
モモイは高笑い
「こうしてモモイは、
アオタに続いてキッカワも潰してしまった」
楽屋に残ったのはミドリヤマ(と、さと兄)
「…オレはどんな嫌がらせにも負けないからな」
「…フン」
モモイ、楽屋を出て行こうとする
「…おい、待てよ。オレには何もしないのか?!」
「ああ、何もね」
「どうしてだ?! アオタやキッカワには
あんなひどいことしといて!」
「それはぁ、あの2人には魅力があるから。
あなたには…ないから!」
楽屋を出て行くモモイ
「…おい、待てよ! 待ってくれ!
オレをいじめてくれよ!!」
「これはどういうことだ?」
「放置プレイの一種でしょうな。
モモイは、ああ見えてミドリカワが
実はドMだと見抜いていたんでしょうな」
「ほら、見てください、あのミドリヤマの表情」
立ち尽くし恍惚の表情を浮かべるミドリヤマ
「…キュン☆」
「わああキュンとしちゃった。コバくんなんか言ってやんなさい」
「ミドリヤマくん、ムキムキのおっさんが君のこと見てるよ」
「キュン☆」
「やっぱりか!」
「みんなおっさん好きなんだな」
「いや、しかし彼はちょっと影があっていいですね」
「うん、僕ね、彼のこと気に入っちゃった。
ミドリヤマくん大好き!」
「本来、主役ってのは彼みたいな人がやるべきなんですよね」
「そうそう。それに比べてほら、あそこにボーッと突っ立ってる人」
「なんだありゃ」
「完全にオーラゼロですね」
「さっきまで主役になりたいって歌ってた人だとは思えないですな」
遠くのステージから執拗に2人に絡まれる
さと兄、なんとかスルーしようとする
「お前のことだよ!
つうかなんだ、あのクリーム色のジャケット。
あれ主役が着る色じゃないぞ」
「普通断るよね」
「あーあー着たり脱いだりしてるけど」
「オーラ増えもせず減りもせず」
「鏡台とほとんどかわんないですよ。無機物だなありゃ」
「お? なにかやるつもりか?」
鏡台の鏡の部分に上半身をくぐらせつつ
「…♪くーるー! きっとくるー!」
コバケン、加藤先生、スルー
「………じゃ、行きましょうか」
「そっすね」
楽屋に取り残されるさと兄とミドリヤマ
「…魅力がない、か…どうせオレなんて…」
「…おい、お前ごときが落ち込んでんじゃないぞ」
「は?」
「下には下がいるんだよ。見てみ、コレ(鏡台に突っ込んだ体)」
「オレはな、芝居も、考え方も、笑いの取り方も、
何もかも地味でつまんないんだ」
「…なんか…ゴメン」
「だからオレはお前になりたい」
「え?」
「お前になって、アイドルの頂点目指したい。
だからさ、オレにちょっとミドリヤマの役やらせてくれよ」
おもむろにクリーム色の地味なジャケットを脱ぐさと兄
「は? オレはどうなるんだよ?」
「お前は佐藤貴史の役をやってくれよ」
「やだよ佐藤貴史の役なんか!」
「オレだってもう佐藤貴史の役はやなんだよ!!
頼む! な! ちょっとだけ!!」
さと兄、ミドリヤマのジャケットをはぎ取る
マウントポジションをとってミドリヤマに自分のメガネをかけさせる
「…ゴメンな」
さと兄、自分のジャケットをミドリヤマに羽織らせ、
自分は緑のジャケットを着る
「こうしてオレは、ミドリヤマと無理やり役をチェンジした」
「これでオレはアイドルになれる…はずだった」
楽屋に戻ってくるアオタとキッカワ
新・佐藤貴史(元ミドリヤマ)の変貌ぶりに驚く
「…おい、このオッサンよく見たらちょっと、いや、
かなりかっこいいよね」
モモイも楽屋に戻ってくる
「だたのオッサンだと思ってたんだなっす」
コバケン、加藤先生もやって来る
「おい貴史!」
「佐藤くん!」
「お前、ちょっと見ない間にずいぶんかっこよくなったな!」
元・佐藤貴史、呆然
「ちょっと、僕はここです! 僕が佐藤貴史です!!」
「ん? なんだ? つむじ風か?」
誰も、元・佐藤貴史の存在には気づかない
「あれ、なんかトムヤムクンみたいな匂いしない?」
「酸っぱ臭い」
「オレそんな世界三大スープみたいな匂いなのか…」
「佐藤くん、今ならあんた主役はれるで! がんばり!」
「はい!!」
「こうしてオレ、新・佐藤貴史としての勝負の日々が始まった」
新・佐藤貴史のサクセスストーリーが始まる
対照的に、元・佐藤貴史はトボトボと舞台から去る
「まず最初に事務所に舞い込んできたのは映画のオーディション」
コバケン監督によるオーディション
日替わりネタでいろいろ無茶ぶり
アオタ→キッカワ→新サトウの順
「君いいね。佐藤貴史ってつまんないやつだって聞いてたけど、
君なかなか面白いね。よし。○○役は、佐藤貴史くんに決定」
「ありがとうございます!」
「続いてはミスター原宿コンテスト!」
カトウ先生によるダンスオーディション
だいぶひどい内容のオーディション
(カトウ地獄の始まり)
「佐藤貴史ってただのド変態って聞いてたけど、君、最高だね!」
「最高なのは芝居やダンスだけじゃないぜ。
オレは地味な俳句を詠ませても天下一品!」
コバケン師匠による俳句コンテスト
その場でお題を発表
いろいろひどいが最終的にいつも新・佐藤貴史の勝利
「若いやつらには負けないぜ!!」
「いまやお茶の間で知らない人はいない佐藤貴史。
彼が何らかの作品で主役をはるのは、
もはや時間の問題だと思われた」
新・佐藤貴史の華々しい活躍の日々。
<つづく>